江戸時代末期より群馬県地方に伝えられている上州座繰りです。
機械で繰糸(繭から糸を作る)すると張力が掛かり絹糸の本来の風合いにダメージが生じてしまいます。
上州座繰り機で糸を繰糸すると糸に負荷が無く空気の層を多く含み、光沢もあり、柔らかく、
表面にウエーブが生まれて温もりのある糸に仕上がります。
真綿にしてから手で縒りをかけています。
弥生時代から伝えられた技法で牛首といいます。
やわらかな風合いと光沢のあるシルクの特性を生かされた糸に仕上げます。
織物の緯糸として使用しています。
座繰りした糸を綛糸(かせいと)にする為、枠から糸を巻き取る作業です。
※一定の枠に巻いて束ねた糸を綛糸と言います。
座繰り糸の仕上がりでは重要な作業です。
温度や時間でシルクのタンパク質(セリシン)が抜けてしまい、
糸本来の特性を失う場合もあります。
集中力が必要・・・。緊張する作業です。

左:機械
右:上州座繰
繭ひとつ(一粒)から長い糸が(約1,300m)ひかれます。全てそれは、お蚕の命の息吹です。
授かったお蚕の生命を尊重し、そのまま形に残し糸にし布として表現することが出来たら...と思いを寄せていました。
繭になった形の表面をそのまま布として仕上げ世に送る...
それが私のお蚕から恩恵を受ける意味なのでしょう...

幅100㎝の高機です。

縦糸は800本~3800本位の本数で製作する用途に合わせて織っています。

こちらは小さな織り機で裂き織用のバックの布を中心に制作しています。
小さいながらも大活躍してくれます。
静かに佇む高機です。20年以上も一緒に働いています。
織りが始まると、大きな音で写真からは想像できない力強さが感じられます。
私と共に一生働き続けるでしょう。